A Critical Thinking Reed

学んだことのメモ。考えたことの記録。主に心理学。

音楽で気分を高揚させる?

音楽で覚醒レベルをコントロールする

オッフェンバックの「地獄のオルフェ」やヨハンシュトラウス2世の「トリッチ・トラッチ・ポルカ」などは目覚めをよくする曲として一般に知られています。 (中略)

リッターとファーガソン(Ritter, & Ferguson, 2017)は,ヴィヴァルディの「四季」の中の ”春” 第一楽章やホルストの「惑星」の中の "火星” を聴かせることによって,実験参加者の覚醒レベルが上がることを報告しています。また,彼らは,サン=サーンスの「動物の謝肉祭」の中の "白鳥” やバーバーの「弦楽のためのアダージョ」を聴かせることで覚醒レベルが下がることを報告しています。

出典:三宮真智子 (2018) メタ認知で〈学ぶ力〉を高める 認知心理学が解き明かす効果的学習法. 北大路書房. 79. 

Ritter SM, Ferguson S (2017) Happy creativity: Listening to happy music facilitates divergent thinking. PLoS ONE 12(9): e0182210. 

音楽が引き起こす感情

谷口(1995)の研究では,音楽の感情価測定尺度(AVSM)を作成し,5つのクラシック作品の聴取時の感情を測定している。

まず,マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」では,親和・高揚・荘重の得点が高い。次に,ワーグナーの「タンホイザー行進曲」では,高揚・強さ・荘重の得点が高い。次に,バッヘルベルの「カノン」では,親和・高揚・荘重の得点が高い。次に,ヴィターリの「シャコンヌ」では,荘重・強さの得点が高い。最後に,ディニクの「ホラ・スタカート」では,高揚・軽さ・強さの得点が高い。この研究で使われた作品の中であれば,ヴィターリのシャコンヌ以外は高揚感を高める作品と言えるだろう。

出典:谷口高士. (1995). 音楽作品の感情価測定尺度の作成および多面的感情状態尺度との関連の検討. 心理学研究, 65(6), 463-470.

感動を科学する?

大出・今井・安藤・谷口(2009)は,”感動”の評価要因について10曲のクラシック音楽を題材に分析している。そもそも,感動とは非常にあいまいなものであり,大出ら(2009)も,感動の中に種類がいくつかあることを示唆している。尚,感動の評価が多かったのは,マスネの「タイスの瞑想曲」,ショパンの「エチュード 作品10第12番 『革命』」,そしてプッチーニの「マノン・レスコーより第三幕の間奏曲」であった。

出典:大出訓史, 今井篤, 安藤彰男, & 谷口高士. (2009). 音楽聴取における" 感動" の評価要因----感動の種類と音楽の感情価の関係. 情報処理学会論文誌, 50(3), 1111-1121.

 

参考

科学的にも証明されたモーツァルトの楽曲がもたらす仕事への効果とは? | 「Sound Design for OFFICE」公式サイト | USEN

医学博士が考えた はかどるクラシック | ユーキャン通販ショップ