A Critical Thinking Reed

学んだことのメモ。考えたことの記録。主に心理学。

「考える頭」のつくり方(読書メモ)①

 

「考える頭」のつくり方 (PHP文庫)

「考える頭」のつくり方 (PHP文庫)

 

はじめに

・日本語でしゃべっているときでも、“......である”と言い切る自信がないとき、“......と思う”といった言葉がよく出てくる。考えているのではなく、あいまいにボカしているのである。(p.9-10)

・めいめいの考えをぶつけあう討論会のようなものが、おもしろいことが少ないのも、発言者が本当に考えたことをつき合わせているのではなく、その場の雰囲気を重視するからであろう。(p.10)

・理科をおもしろく教えられる教師が多くなれば、日本人の思考力、創造力は大きく向上するということを、社会として考えないと、国際競争におくれをとることになる。(p.11-12)

・知識がなければ、まねたくともまねることができない。自分の頭で考えるほかない。独創になる。物知りは多く独創的でない。無学な人が“発見”をするのは、むしろ当然である。(p.15)

・もっとも有効で、すぐにでもできるのは、知的会話である。雑談でよい。難しい問題をかかげる必要もない。なるべく人名を出さず。過去形の動詞をひかえて雑談すれば、オリジナルな考えが飛び出す確率は小さくない。(p.16)

第1章

・かたよった知識によって善と決めつけたものばかりに頼りすぎることなく、悪いものをなにもかも拒絶することなく、もっと自然を認め、失敗や負けも受けいれて、免疫力をつけておかないと、自分でものを考えることのできない人間になってしまう。(p.29)

・思考とは、これはなにか、なぜそうなのか。という疑問をもって、それを自分の力で解こうとすることをいう。たとえば、二つのものがあって、どちらがすぐれているかを比較、判断するのが「考える」ことである。どちらかに決めたら、なぜそれがすぐれているかを論理的に説明できなければならない。 それに対して、「思う」とは自発的ではなく、あくまで受け身である。外からきた刺激に対して心理的に反応することであって、何かすでに存在しているものを受けて「思う」。「感じる」も同じことである。(p.52-53)

・こうなると、人間としての存在価値は、「忘れる」ことでしか発揮できない。記憶と忘却が共存し、記憶したものの中で不要な物を忘れ、忘れたあとに新しいものを記憶し、忘れてさらにその先を考える......忘却は睡眠中だけではなく、覚醒時に意識的にできるところまでいけば、コンピューターにも負けない。(p.60)

・従来は、生活や経験から離れたところで、知識や情報を機械的に頭の中に入れてきただけである。そうではなく、もっと人間の心理や生理に近いところで、日常的に考える習慣がつけば、一段と進んだ社会になるはずである。(p.62)

・その知識は生まれた瞬間、過去のものとなる。それが経験にもまれて社会に定着すると、知恵になる。われわれに必要なのは、知識ではなく、知恵を生むための考える力、思考力である。(p.66)