A Critical Thinking Reed

学んだことのメモ。考えたことの記録。主に心理学。

セックス(性行為)をする理由

日本性教育協会が約6年おきに実施している「青少年の性行動調査」。その第8回調査(2017年実施)の報告書には驚きの結果が並んでいたとNEWSポストセブンが報じている。

同記事によれば、

デートやキス、初体験など若者の性行動が減少した最新結果を報告書はこうまとめる。

〈2017年調査では青少年の性行動の不活発化がさらに進行し、特に女子でその傾向が著しいことが明らかとなった〉

「青少年性行動調査」40年の歴史から見える若者の性の変遷│NEWSポストセブン

とのことである。

 

なぜ、大学生はセックス(性行為)をするのか

髙坂・澤村(2017)の研究を紹介したい。髙坂らは、大学生を対象にセックスをする理由を次のような6種類の因子にまとめている。

 

1.自己の欲求
「セックスが好きだから」「相手の身体に興味があるから」など

2.愛情の確認
「お互いの気持ちを感じ合えるから」「セックスをすることで心が満たされるから」など

3.相手からの要望
「相手にセックスしようと誘われるから」「相手がセックスをしたがるから」など

4.周囲からの圧力
「恋愛関係を維持するためには、セックスをしなければならないと思っているから」「周りの友だちはみんなセックスをしているから」など

5.支配・独占
「セックスをすることで、相手を自分の思い通りにできるから」「セックスをすることで、相手を自分のものにできたと思うから」など

6.雰囲気
「セックスをするような雰囲気になるから」「その時のノリでセックスが始まってしまうから」など

 

以上の結果より、大学生にとって「セックス(性行為)」は一種のコミュニケーションと位置づけられていることがわかる。一つ注視すべきは「周囲からの圧力」だろう。セックスをしている理由の一つに「社会的規範」があるということは、「セックスをしなくてはならない」という圧力によってセックスをしている人がいる可能性を示唆している。本当にこのような状況は望ましいのだろうか。

同研究では、男女の性差についても検討されており、男性は「自己の欲求」「周囲からの圧力」に高い得点を示し、女子は「相手からの要望」に高い得点を示していることが示されている。
このような差からは、男性は”能動的”に欲求を満たしたり周囲からの期待(圧力)に応えようとすることが多く、女性は”受動的”に要望を受け入れることが多いといった「能動ー受動」の関係性が推察できる。

 

【引用文献】

髙坂康雅, & 澤村いのり. (2017). 大学生が恋人とセックス (性行為) をする理由とセックス (性行為) 満足度・関係満足度との関連. 青年心理学研究, 29(1), 29-42.