A Critical Thinking Reed

学んだことのメモ。考えたことの記録。主に心理学。

なぜ,人と人は支え合うのか(読書メモ)②

読んだ本

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第2章

・自立生活をする障害者にとって,いかにも「あなたのことを思って」という,障害者への「やさしさ」「思いやり」を装った主体性への侵犯にこそ,最も抵抗しなくてはならないと思う【p.106】

・介助者は,黙って障害者の言うことを聞いていればいいわけでもない。そもそも「正解」や「教科書」などなく,お互いの立場や考え方を率直に話し合うのが一番【p.108】

・ボランティアや人助けをする人は,それによって自分の承認欲求や存在意義を埋め合わせている側面が少なからずある【p.120】
・「支える側」と「支えられる側」の逆転した関係【p.121】
・人は誰かを「支える」ことによって,逆に「支えられている」【p.125】
・世の中や社会というのは,「支えられる人」ばかりだと成り立たず,逆に「支える人」ばかりでも成り立たない【p.126】

第3章

・障害者と健常者の「共生社会」とは,障害者と健常者がお互いに助け合って生きる,思いやりにあふれた“やさしい社会”?
→実際は,異文化同士がぶつかりあう“混沌とした社会”に近い?【p.136】

・障害者と健常者が“同じ人間”であることは間違いないが,“違う人間”という側面に積極的に認識を向け,「共生」する上で何が生まれるかをごまかさずに考えていく必要がある。また,なぜ“違う人間”として分け隔てられてしまう理由を根底から問うことも必要。【p.137】

・私たちの社会は,「かわいそうな障害者」「分相応で控えめな弱者」にはやさしいが,社会に対して毅然と主張してくる障害者や,弱者の枠をハミ出すような側面がかいま見えたとたん,冷たくなる特質がある(あわれみの福祉観)
→福祉は“社会のお荷物”という認識になる【p.137-138】

・駅のバリアフリー化は,障害者がまず率先して声を上げ,社会の仕組みやあり方そのものを変革する努力を重ねた結果,それが障碍者のためだけでなく,「社会全体のトク」につながった,最もわかりやすい例【p.150】

・追い詰められて障害児の首を絞めた母親に対する同情論は,今の社会でも起こりうる
→「働けるか否か」によって決めようとする価値観,社会の圧力
→これが「差別」であるという認識の問題【p.155-157】

・自立とは,自分でものごとを選択し,自分の人生をどうしたいかを自分で決めることであり,そのために他人や社会から支援を受けたからといって,そのことは,なんら自立を阻害する要素にはならない。ましてや,その人の人格が侵されることもない【p.166】