A Critical Thinking Reed

学んだことのメモ。考えたことの記録。主に心理学。

理科教育学

「理科を学ぶ目的」とは(雑文)

理科教育関連の集中講義で、毎回と言っていいほど扱われるテーマがある。 「理科を学ぶ目的はなんですかと子どもから聞かれたらどう答えますか?」 という問いである。繰り返し言われるということは、これが理科教育において、はっきりとした答えの出ていな…

理科学習における性差

以前に出したブログの焼き直し。 目次 TIMSS(国際数学・理科教育調査)にみる性差 日本の結果 諸外国の傾向 近年の研究にみる性差(情意的側面を中心に) まとめ 参考文献・引用文献 TIMSS(国際数学・理科教育調査)にみる性差 TIMSSとは、IEA(国際教育到…

批判的思考力の育成にむけて

「批判的思考(Critical Thinking)」が、今後はさらに求められていくように思われるので、2019年最初の記事は、批判的思考力の育成について、道田(2013)の見解を中心に大ざっぱに書いてみたいと思う。 批判的思考力を育成するための3つの問い(道田, 201…

素朴概念をめぐって

素朴概念は「理論」?「断片的知識」? 素朴理論の研究者の多くは、素朴概念が「理論」としての整合性を持ち、概念発達には、知識構造の再編を含んでいると考えている。 対して、diSessa(1993)など一部の研究者は、理論として理解することに懐疑的であり、…

理論と証拠の意識的な調節を起こすために

理論と証拠の意識的な調節 Kuhn(1989)によれば、科学的思考の中心的特徴とされる「理論と証拠の意識的な調節」は、成人においても十分に行えないことを示唆している。 第1に、理論と証拠が一致するとき、両者を明確に区別せず、証拠を評価するように求め…

3つの「科学」のイメージ

「科学をどのようにとらえるか」これは、科学的思考の発達について考えるときに最も根源的な問いといえる。 今回は『現代の認知心理学 5 発達と学習』(市川伸一編)第10章「科学的概念の発達と教育」(湯澤正通)をもとに、科学のイメージ論を見ていく。 同…

概念変化を起こす4つの条件

概念変化(Conceptual Change)の研究は、理科(科学)教育や認知科学の面から数多く研究されている。 概念変化とはなにか 核となる概念、概念表象および概念表象化(ルールやモデル、理論を含む)における変化(稲垣・波多野,2005) 概念変化を起こす4つ…